家を建て始める前に神主を招き、その土地を守る神様に工事の安全を祈願する「地鎮祭」。人によっては一生に一度行うかどうかのイベントです。その流れやおさえておきたいマナーなど、建築工事が始まる前の式典「地鎮祭」についてご紹介しましょう。
地鎮祭とは
家の建築工事が始まる前に土地を守る神様(氏神様)にその土地を使用する許しを請い、工事の安全とこれから安心して暮らしていけるように祈願する儀式が「地鎮祭」です。
家を建てる土地の四隅に青竹を立て、しめ縄で囲んで作った祭場に神主さんを呼んで行われます。
お施主様によっては塩をまくだけで済ませる略式で場合や、建築会社が主催する地鎮祭を行わない選択をする場合もあります。やり方によって必要な準備と費用が変わるので注意が必要です。地鎮祭を行わない場合でも工事関係者だけで地鎮祭のような略式の安全祈願を行う申し出がある時があります。
地鎮祭当日までの準備
地鎮祭は基本的には施工会社が主催となります。家を建てるお施主様は施工会社に任せておけば無事に地鎮祭は執り行われるでしょう。ここでは施主として知っておきたい「一般的な神主さんを招いて行われる地鎮祭の準備や流れ」を見ていきましょう。
日取りの決定
日取りは建築における縁起のいい日に執り行うのが一般的です。暦の六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)を参考に、「仏滅」「赤口」を避けて、「大安」「友引」「先勝」に行うのがよいとされています。その縁起のいい日の中でも牛の刻といわれる11時〜13時ごろに行うのが望ましいでしょう。
神主さんへの依頼は施工会社が一般的に行いますが、年間さまざまな神事を執り行う神主さんへの依頼ため一ヶ月前には依頼をしておく必要があります。
上記のように独特の慣例があるので希望の日程がある場合は施工会社や神主さんへ早めに打ち合わせをしておきましょう。ちなみに雨が降っても行われます。雨は土地を清める恵みの雨とされ、土地神様が喜ぶとして縁起がよいとされているからです。
初穂料や奉献酒など
地鎮祭では祭壇を用意してお供え物をします。必要なものは施工会社が準備してくれますが、初穂料や奉献酒などお施主様が用意しなければいけないものもあります。
初穂料はのし袋に入れて神主さんへの謝礼として用意します。地鎮祭で用意するのし袋は紅白の紐を使った「蝶結びの水引」と「淡路結びの水引」を使用するのが一般的です。
地鎮祭後にご近所の方へ工事に入る旨の挨拶まわりをする際にタオルやお菓子などの粗品があると好印象です。初穂料や奉献酒、粗品など用意しなければいけないものを施工会社に事前に確認しておきましょう。
当日の服装
お施主様の服装に決まりはありませんが、一般的にはフォーマルな服装で参加します。フォーマルと言っても結婚式などのような服装ではなく、男性であればスーツやジャケットスタイルにネクタイをしめる、女性であればスーツに準じたスタイルなどです。
地鎮祭のあとにご近所へ挨拶まわりをすることを考えてもきちんと身だしなみを整えておくことが大切でしょう。
地鎮祭当日の流れ
- 開会の儀
神主さんから催事の説明があります。
- 降神(こうしん)の儀
神主さんが神様を招きます。
- お祓い
軽く頭をさげておきましょう。
- 祝詞(のりと)をあげる
神主さんが祈りの言葉を読み上げます。
- 現場を祓い清める地鎮の儀
土地や敷地内の四隅を塩と酒で祓い清め、草を刈ったり土地を均したりする動作を行います。
- 四方祓いの儀(しほうばらいのぎ)
- 刈初の儀(かりそめのぎ)
- 鍬入れの儀(くわいれのぎ)
- 杭打ちの儀(くいうちのぎ)
- 玉串を祭壇に捧げる
玉串に自分の心をのせ、神に捧げるという意味を込め、一人ずつ裁断まで行き玉串を紙に捧げます。
- 昇神の儀(しょうしんのぎ)
神様にお帰り頂きます。
- 上棟札のお渡しと説明
神主さんより上棟札のお渡しと説明があります。上棟札は、後日行われる上棟の際に棟木と呼ばれる家の一番高いところに取り付けます。
- 乾杯
お神酒で工事中の安全と完成を祈って乾杯します。
この記事では一般的な「神主さんを招き行う地鎮祭」についてご紹介しましたが、実際の地鎮祭は、お住まいの地域や建築会社によって準備する物・儀式の流れ・服装・ご近所へ挨拶まわりの有無が異なります。必ず工務店担当者に確認してください。