住宅建築には上棟(じょうとう)という工程があります。 上棟までの工程が完了すると「上棟式」という儀式をする場合もあるほど住宅建築では重要な作業です。
棟梁をはじめとする職人さんにお施主様が感謝をこめてもてなすという意味合いもある上棟ですが、どのような流れで行われるのでしょうか。 こちらでは上棟についてご紹介します。
上棟とは
「棟上げ」「建方」「建前」という言い方もされる上棟。 一般的に木造住宅の建築で柱や梁など建物の基本構造が完成したあと、屋根の一番上の部材「棟木(むなぎ)」を取り付ける作業のことです。 地域によっては骨組みを組み上げた段階や屋根が完成した段階など、上棟が指す作業範囲が違うこともあります。
上棟の日に雨が降った場合、「火事にならない」「幸せや福が降り込む」と言われ、縁起がいいとされています。 小雨であれば問題ありませんが、大雨や強風の場合は延期されるでしょう。
改めて上棟が無事完了したことをお祝いする儀式が上棟式です。 「建前」とも呼ばれる上棟式は、家を建てる職人さんに感謝の気持ちをもってお施主様がもてなすための式といわれ、職人さんの負担にならないように上棟の日の夕方に行われるのが一般的です。
上棟式の内容は地域によってさまざまです。 棟梁が棟木に弊束を立てて破魔矢を飾り、祭壇を飾って四方を酒や塩、お米をまいてお清めをして上棟の儀が行われます。餅やお菓子を用意して屋根からばらまくケースもあり、棟梁とお施主様との関係性によっては宴会をする場合もあるようです。
上棟に参加するメリット
現場の職人さんとの良好な関係を築けることが上棟にお施主様が参加するメリットです。 しかし、忙しくて時間がとれない、費用を少しでも抑えたいなどの理由から上棟式をしないケースも近年増えています。
上棟に参加をしない場合も職人さんに感謝を伝え、コミュニケーションをとろうとすることは大切です。 コミュニケーション重視の簡易的な上棟式を行ったり、差し入れをもって挨拶をしたりするだけでも印象は大きく変わるのです。
段ボール箱などにお菓子の詰め合わせを用意したり、帰宅後に楽しめるビールやおつまみ、夏はアイス、冬は汁物などの手土産を持参したりして、無理のない程度に職人さんとやりとりをして良好な関係を築きましょう。
対面がないよりもお互いに意見を伝えやすくなります。 現場の職人さんもお施主様の気持ちを汲んで良い仕事をしてくれるでしょう。
上棟の日に用意するもの
上棟札
地鎮祭のときに神社からもらった「上棟札」が必ず必要です。 上棟札の裏面にお施主様のお名前・施工会社名・上棟日をあらかじめご記入の上ご持参ください。 家の一番高いところから神様が家内安全などを見守ってくれるとされており、棟梁が屋根の内側の最も高い位置に取り付けてくれます。
お弁当・お茶
職人さんたちと一緒に食べるためのお弁当です。 このときに棟梁とお施主様の顔合わせをします。 職人さんはたくさん食べるイメージがあるかもしれませんが、普通の量で問題ありません。 他にオードブルなどを用意いただける場合は、持ち帰り用の容器があれば喜ばれるでしょう。 また、冬場は温かい汁物、即席の味噌汁やミニヌードルなどがあると好印象です。 参加人数は事前に施工会社に確認しましょう。
ご祝儀
ご祝儀は必須ではありません。 もしご用意する予定であれば棟梁の分だけで、1〜3万円ほどが相場になります。 引き出物を用意されるケースもありますが、こちらも必須ではありません。
上棟の日の流れ(一例)
上棟の日の朝から参加されるお施主様もいらっしゃいますが、10時頃の1回目の休憩でお弁当をお持ちになって参加されるとスムーズです。 無理のない時間帯にご参加ください。
- 朝礼・作業開始(8時頃)
朝礼前に棟梁が建物の四隅にお酒と塩をまいて清めます。
- 1回目の休憩(10時頃)
- 昼休憩(12時頃)
棟梁とお施主様の顔合わせと食事
※感染症対策のため顔合わせのみになることもあります - 作業再開(13時頃)
- 2回目の休憩(15時頃)
- 工事完了(16〜17時頃)
まとめ
上棟は重要な工程ですが、お施主様の都合によって参加できない場合もあるでしょう。 上棟の日に参加できなかったり、祭壇を作り儀式を行う堅いイメージの上棟式を行わなかったりした場合でも棟梁をはじめ現場の職人さんたちに感謝を伝えてコミュニケーションをとることはできます。
ぜひお施主様が無理なく楽しめる範囲で職人さんと良好な関係を築かれてください。